カナダの梅と桜

この木は梅なのか桜なのか?

これは何の花?
これは梅か、それとも桜?

2月の初めのことです。いつものようにウエストバンクーバーのあちらこちらを散歩していました。

ある道を歩いていると、ピンクの花が咲いているのを見つけました。この花は今の時期(2月)だとなのかなと思い、近づいていきました。

きれいだったので、写真を撮りました。

きれいなピンク色をしている桜
きれいなピンク色をしている

花をよーく見たら、ではなくて、でした!

梅と桜の見分け方

梅と桜、どちらもよく似ています。 少し離れて見るとどちらがどちらかわかりませんね。でも近くで見るとその違いがよく分かります。

それでは梅と桜の見分け方です。

1.花弁(花びら)の先が丸い
2.花柄(かへい)がない(枝からすぐに花が付いている)
3.1つの節に1つ花が咲く

1.花弁の先が割れている(種類による)
2.花柄が長い(枝から柄が伸びてその先に花がある)
3.一カ所から複数の花柄が出ていて、複数の花が咲く

桜には花柄がある
花弁の元のほうをよく見よう

わかりやすいのは、花びらの形ではなく、花びらがどのように枝にくっついているかです。梅は枝から直接花が咲いています。桜は何本かの花柄が出ていて、その先に花びらがあります。だから満開の桜のほうがいっぱい咲いているよう見えるのですね。

枝にはまだ桜のつぼみが残っている
枝にはまだ桜のつぼみが残っていた

桜といえば枝一杯に咲いているイメージですが、この木は花がスカスカでした。近くでよく見ると、まだ蕾(つぼみ)がいくつかありました。まだ満開じゃないから隙間があるのですね。もう少し日がたてば満開になるので、またその頃に来ようと思います。

ときは経って。。。

2週間後に、また同じルートを散歩しました。そして、同じ桜の木を見ました。

そうしたら、花がすっかりなくなっていました。><

あらためて、桜の花の命は短いなあ、と思いました。

花がすっかり散ってしまった桜の木
花がすっかり散ってしまった桜の木
桜の木のそばにまだ残る雪
この桜の木のそばには雪がまだ残っていた

平安時代の花は梅か桜か

花を観賞することは昔から行われていました。奈良時代にはが好まれていたようですが、万葉集にもを詠んだ歌が結構たくさんあるので、も愛されていたと思います。万葉集は奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。

奈良時代に梅が好まれたのは、中国では高貴だと言われる梅が遣唐使によって伝わったからです。貴族の間では梅を鑑賞して愛でることが流行っていました。当時は中国の政治だけではなく、文化も取り入れていたのですね。

794年から平安時代になりましたが、100年後の894年、菅原道真によって遣唐使が廃止された後、顕著に梅より桜を愛でることが主要になっていきました。それ以降、歌で花と言えば桜を指すようになりました。

百人一首に載っている花

百人一首と言えば藤原定家が選んだ小倉百人一首が有名ですね。藤原定家は平安時代末期から鎌倉時代初期の人で、百人一首に収められている歌は飛鳥時代(奈良時代の前)の天智天皇から鎌倉時代の順徳院までです。


それでは、ここで百人一首に入っているがらみの短歌を二つ記しておきます。歌を作った二人とも平安時代に人なので、歌に出てくる花はです。
(他にも桜に関する歌があるので興味のある人は自分で調べてくださ~い)


「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」

(小野小町)

【訳】

春の長雨が降っている間に、桜の花はむなしく色あせてしまったよ。同じように私の容姿もすっかり衰えてしまったなあ。もの思いにふけっている間に。。。

※「ふる」は「降る」と「旧(ふる)」を掛けてある。 旧(ふる)は年月が経つ、年を取る、古びれるの意。
※「ながめ」は「長雨」と「眺め」を掛けてある。


「花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり」
(入道前太政大臣=藤原公経)

 【訳】

桜の花を誘うように吹く嵐により、庭は散った花で雪のように埋め尽くされている。しかし、花が散らされるように、我が身も年老いて散ってしまうのだろうなあ。

※上と同じで、「ふりゆく」は「降る」と「旧(ふる)」を掛けてある。

二つともおじさんの心境とよく似ていますねぇ

わしはまだ若いぞー

気持ちだけですけどねー

梅は咲いたぁかぁ~ 桜はぁまだかいな~

梅と桜と言えば「梅は咲いたぁかぁ~ 桜はぁまだかいな~」で始まる歌がありました。歌というより小唄ですが。これは花柳界の歌で、明治時代に流行しました。

子供のころは最初のフレーズしか覚えていませんでした。春が来る前、よく知らずに口ずさんでいました。でもこれは大人の歌だったのですねー。

梅は咲いたか 桜はまだかいな
柳ャなよなよ風次第
山吹や浮気で 色ばっかり
しょんがいな

浅蜊(あさり)とれたか 蛤(はまぐり)ャまだかいな
鮑(あわび)くよくよ片想い
さざえは悋気(りんき)で角(つの)ばっかり
しょんがいな

柳橋から小船を急がせ
舟はゆらゆら波しだい
舟から上がって土手八丁
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