夏時間(Daylight Saving Time)

夏時間とは

カナダの夏は太陽が朝早く昇り、夕方遅くまで沈みません。バンクーバーにおいては夏至の頃は朝4時過ぎに明るくなり、夜は10時近くまで真っ暗にならないです。

自然の光をできるだけ使って、電気使用を少なくすればエネルギーが節約できるというのが夏時間を採用する理由です。ですから夏時間Daylight Saving Time(DST)とも言われます。

昔、初めてバンクーバーに遊びに来たときのことです。バンクーバーにいる親戚の人たちがチャイニーズレストランに連れて行ってくれました。ビールや老酒を進められ、断るのも悪いので(うそつけ)飲みました。食事が終わる頃にはとーってもいい気分!(ウィっ)

食事が済んで外に出たら、お天道様がまだいらっしゃる。明るいうちからこんなにいい気分になり申し訳ない気持ちになりました。そのとき、時計を見たらもう9時でした。カナダの夏はなんて遅くまで明るいのだろうと驚きました。

夏時間の始まりと終わり

夏時間開始日3月第2日曜日終了日11月第1日曜日です。時間は夜中の2時に変わります。

実は2006年まで夏時間は4月の第1日曜日から10月の最終週の日曜日まででした。ところがアメリカがエネルギー不足を解消しようと今までより夏時間を増やすことにしました。アメリカがこのように決めたのでカナダも追随することになったのです。

アメリカと同じようにしなければならないというわけではないのですが、アメリカとカナダは経済的にも密着しているので時間がずれると都合が悪いことも起きます。1時間のずれが会社の取引や仕事に影響するし、銀行や証券、株式市場にも影響を与えます。航空機の発着も混乱を招くかもしれません。

道路の信号も時間によって赤や黄色の点滅になったりします。それらを調節しなければなりません。また、テレビ放送の時間帯にも影響を及ぼします。

こういったことを全部考慮しなくてはならないから大変です。アメリカと同じほうが都合がいいのです。

夏時間を採用しない場所

カナダには夏時間を採用していないところもあります。
(アメリカも夏時間を採用していない州もあります)

下の地図を参照してみてください。

カナダの時間帯
カナダの時間帯と日本との時差

例えば、カナダには10州と3つの準州(テリトリー)がありますが、ブリティッシュコロンビア州(BC州)の一部、ケベック州の一部、サスカチワン州の大部分、ユーコン州などは夏時間を採択していません。

カナダやアメリカでも夏時間に関しては賛否両論がありますが、実施しているところが多いということはきっと賛成派が多いのでしょう。

夏時間のときはどうすればいい?

時計を1時間進めます。

コンピューターやスマホなどは自動的に時間が変わりますので、操作する必要はないのですが、マニュアルで時間を変更しなくてはならないものもあります。

柱時計、置時計、腕時計や車の時計などは針を直さなければなりません。それからビデオや台所のオーブンについている時計などもです。

変更するのが面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、年に2回だから私はそれほど苦になりません。それより夏時間があることのほうがメリットを感じるからです。

Daylight Saving Time(DST)
夏時間のときは1時間早くする

カナダ人の夏時間の過ごし方

いつもより1時間早く起き、学校や職場に行くことになります。その分、1時間早く終わって帰ることができます。

1時間早く仕事が終わるので、仕事の後でゴルフを1ランドプレーすることもできます。晩ご飯を食べた後も明るいので、散歩したり、遊んだりもできます。

子供の野球の試合は夕方6時ごろから始まることが多いので、家族そろって応援に行くこともできます。ソフトボールをして楽しんでいる大人もいますし、暗くなるまでビーチバレーをして楽しむ若者たちもたくさんいます。

カナダ人にとっては「電気の節約」というより、自分たちが楽しむために「夏時間」を採用しているように思います。

カナダ人は「余暇を楽しむため」に仕事をしているという感じがします。だから太陽が遅くまで出ている夏時間のときは目いっぱい遊びます。

カナダ人が夏をエンジョイするもう一つの理由は、暗い冬の季節が長いからでもあるからでしょう。陽の光を夏の間にいっぱい浴びておこうという気持ちがあると思います。

夏時間 早起きする犬
1時間早く起きないといけないのかぁ

日本で夏時間が採用されるのか

もし日本で夏時間が導入されたとしたらどうでしょう。

・ゴルフ場まで遠い。
・近くに芝生の公園も少ない。
・ビーチは混んでいる。

このように折角太陽が出ている時間が長くても、外で手軽に遊べる環境が少ないですね。

それに外でスポーツをしたり、遊んだりするには暑過ぎます。エアコンが効いたゲームセンターかパチンコ店のほうがいいとなんてことになりかねません。

カナダと日本では環境や考え方が異なるのですね。

昔は日本も夏時間があった

実は日本も夏時間を実施したことがありました。1948年から1952年までの間、第二次世界大戦後、米軍に占領されていたときのことです。

その後も折にふれ夏時間導入の話題が昇っています。小泉内閣のときにもそういう話がありました。夏時間導入には賛否両論があり、まだ実施するに至っていません。

日本では片道2時間かけて通勤していたり、残業が多かったり、サラリーマンにとって1時間早く仕事が終わったところで日はとっくに暮れていますものね。カナダのように仕事が終わればすぐに家に帰れるというわけにはいかないですから。

「働き改革」は進んでいるのかなあ

世界の夏時間

カナダでは1908年から夏時間(DST)を採用しています。最初は国単位ではなく、オンタリオ州のPort Arthur(現在のThunder Bay)という町で初めて取り入れられました。その後、カナダの他の町でも次々に採用されていきました。夏時間を採用するかどうかは各自治体の裁量によるのです。

ヨーロッパではドイツが1916年に初めて夏時間を取り入れました。ドイツで始まった夏時間はその後すぐにイギリス、フランス、イタリア、ロシア、オーストラリアなどに広がっていきました。でもドイツは1919年に、オーストラリアは1921年に一旦止めてしまいました。今は復活しています。

このように数年でやめてしまった国もあるし、初めから取り入れていない国もいっぱいあります。

世界のどのくらいの国が夏時間を採用しているかというと、70を超えています。夏時間を採用するかどうかには紆余曲折があり、今も意見が分かれています。

例えば、フランスの田舎では夏時間が気に入らなくて1920年までには止めてしまいましたが、首都のパリや他の主要都市では継続されました。その後フランス議会は時間を変えることを止めましたが、1923年の4月28日から11月3日の間、仕事の時間を30分早め、30分早く終わることにしました。このようにいろいろと変化があるのです。

また時代の流れによってその判断も変わります。例えば1970年代のオイルショックにより、ヨーロッパの多くの国で夏時間を復活させました。

今、ロシアがウクライナに侵攻し、戦争が起きています。そのためにエネルギー資源として利用されるオイルの値段が高騰しています。輸送費も上がり、物資の流れがスムーズにいきません。多くの物価も上昇しています。こういうことが起きると人々は節約することを考えます。

夏時間を採用していない国もDSTを考えるときかもしれませんね。