人の名前は発音しにくい

「エイオキ」って、誰?

随分と昔の話ですが、カナダのアパートのリビングルームに腰掛けてゴルフのハワイアンオープンを見ていました。最終組でまわっていた青木選手は18ホールをプレー中で16アンダー。1組前でプレーしていたJack Renner選手は17アンダーでホールアウトしていました。

18番ホールはバーディーを取りやすいパー5。青木選手は2オンならず、まだピンから128ヤードも残していました。パーならRenner が優勝。バーディーを取ってもプレーオフです。

テレビクルーは、テントの中でスコアのアテストをしていたRenner 選手が優勝するだろうとインタヴューするために待ち構えていました。テレビにはトップでフィニッシュし満足げなRenner 選手が映っていました。

ところが、暫くしてテレビから大歓声が聞こえてきたのです。Renner がテントの外をチラッと見ました。でも何が起きたかは見えませんでした。

誰かが、「青木が第3打をカップに放り込んだ!」と伝えました。その瞬間Renner は片手を額に持っていき、「Oh...Unbelievable!」(と言ったかどうかはわかりませんが)、と首を横に振っていました。誰の目にもそのショックがわかりました。

その後、第3打をピッチングウェッジで入れイーグルを奪い、にこやかに両手を上げて喜んでいる青木選手の姿が何度も放映されました。 このショットはゴルフ史上でももっとも劇的な大逆転優勝として、今なお語り継がれています。

ゴルフ パットをするプレーヤー
ゴルフ パットをするプレーヤー

さて、長~い前置きになりましたが、この優勝でAOKI選手の名は一躍有名になったことは言うまでもありません。(その前年にも全米オープンで、あのジャック・二クラスとの優勝争いをして少しは名前が売れていましたが。)

しかし、このときまではテレビのアナウンサーでも、AOKI のことを、「エイキ」と発音していたのです。そして名前のほうの「ISAO」は「アイセイオ」と呼ばれていました。(太字にアクセントがきます。) テレビを見ている私にはアオキ選手だとわかっていましたが、エイオキと呼んでいるのには苦笑しました。人の名前は発音が難しいですが、できる限り正しく呼んでほしいものです。

大坂ナオミのこと

最近の話をしましょう。今やテニス界で有名なNaomi Osaka。このNaomiは日本語でしょうか、それとも英語でしょうか?日本語でも女子の名前に直美、尚美、奈緒美などがあるのでNaomiは日本語でしょう。

テニスをする少女
テニスをする少女


いや、いや、ちょっと待ってください。実はこのNaomi聖書に由来している名前で立派な英語名であります。そして、Naomiの発音は「ネイミ」(「ネイミ」とも聞こえる)と発音するのです。(太字にアクセントがきます。)ですからモデルで有名なNaomi Campbellは「ネイミ・キャンベル」なのです。

「a」が入っていると、「ア」ではなく、「エイ」と発音する場合が多いのです。ですからAoki選手が「エイオキ」と発音されても仕方がないですね。

Naomi Osakaの場合はお母さんが日本人だし、大阪で生まれたので、英語でも日本語でも通じる名前にしたのかもしれませんね。

「かおり」って呼んでもらえない!?

女性の名前で「かおり」というのがあります。英語圏の友人に面と向かって紹介すると、音を真似したときには「かおり」と言ってもらえるのですが、先に名前を書いたのを見てしまうとうまく発音できないのです。

「かおり」を英語表記すると「Kaori」ですね。Kのあと、aoと母音が続いています。こんなとき英語話者は「ケイリ」と言ってしまいます。(「ケイリ」と聞こえる場合もあります)

そうです、「Naomi」の場合と同じですね。

日本人の名前を英語発音する場合

英語ネイティブが日本人の名前を呼ぶとき、どうしてもアクセントをつけてしまいます。

日本人の名前はアクセントがなく平らですが、上記したように「エイキ」や「ネイミ」のようにある部分を強く発音してしまいます。発音が日本的になって「あおき」や「なおみ」と発音しても、平板ではなく、「あき」、「なみ」になってしまいます。

何文字目にアクセントを置く?

例えば、「ゆき」「あい」など、2文字の名前の場合は前の文字を強く発音します。

「まなみ」「ゆかり」「はるお」「やまと」など、3文字の名前だと真ん中の文字を強く発音するのが普通です。

女子では4文字の名前はほとんど見受けられませんが、男子では「ひろゆき」「よしたか」などがありますね。この場合は3文字目を強く発音します。

「ひこざえもん」とか「きょうしろう」とかだったらどこを強く発音するのかの

今はそんな古風な名前をつけないですよ