間違った意味で使われている言葉
日本語で使っている単語の意味が、英語での意味とはまったくちがう場合があります。今回はそれらの単語を取り上げてみましょう。
●「彼女の体型はスマートだからどんな服でも似合うね。」
日本ではスマート(smart)は、「細い、すらりとしている」という意味で使われますが、英語ではそのような意味では使われません。英語のスマートは、「頭が切れる、鋭くて賢い」、「洗練された、あか抜けした、」、「抜け目のない」という意味です。
He is a smart student.
(彼は頭脳明晰な生徒だ。)
I know a smart restaurant.
(おシャレなレストランを知っているよ。
He is a smart business man.
(彼はやり手のビジネスマンだ。)
英語で「細い」は、slim や slender です。
●「そんなことを気にするなんて、彼はナイーブだなあ。」
ナイーブ(naive)が日本語では「繊細な、感じやすい、(気持ちが)傷つきやすい」という意味で使われますが、英語では、「無邪気な、素朴な」、もしくは、「世間知らずの、バカ正直な」というふうに、あまり良くない意味で使われます。
He is so naive that he trusted the fraud.
(あんな詐欺師を信用するなんて世間知らずも程がある。)
英語で「繊細な、感じやすい」は sensitive です。
●「イチロー選手~、サインくださ~い。」
サイン(sign)は「自分の名前を書く、署名する」という意味で、その書かれた「署名、自署」は signature といいます。
そして、特に有名人がファンに書いた signature を autograph といいます。
また、イチロー選手の場合でも、彼が役所などに行って自分の名前を記入したり、カードの支払いのときに書くサインなどは signature です。
●「うちの課長はフェミニストだから、女子社員からモテモテだよ。」
「女性に優しい」という意味で使われる feminist は、英語では「男女同権主義者」という意味です。ですから、feminist という言葉は女性にも用いられます。
the feminist movement
(女性解放運動)
●「この店、ムーディな音楽が流れていて、恋人と来るのにいいわ。」
ムーディ(moody)を「ムードがある」、特に「ロマンチックな雰囲気がある」という意味で使うことがありますが、英語のムーディは、「気まぐれな、感情の移り変わりが激しい、気難しい、不機嫌な」というふうにネガティブに用いられます。
He is moody.
(彼はお天気屋だ。)
●「おかしなことばっかり言って、あの人はユニークだなあ。」
「面白い」という意味でuniqueを使うことがありますが、uniqueには「面白い」という意味がなく、正しい意味は「唯一の」、「独特な」、「稀な」 という意味です。
He has a unique talent.
(彼には特別な才能がある。)
His idea is unique.
(彼のアイデアは独特だ。)
uniqueはvery specialという意味なので、very uniqueという言い方は誤用だという人もいます。「とても」と強調したいのなら、absolutely, totallyなどを使うのがいいかもしれません。
ちなみにuniqueの前にはanじゃなく、aをつけます。
今までこれらの語句を英語でも同じだと思って堂々と使っていた人たち、これからは気をつけてこれらの語句を使いましょうね。