サーモン孵化場(ふかじょう)

サーモン孵化場の地図
キャピラノ川サーモン孵化場の地図

サーモンはどこに行くの

サーモンが遡上するキャピラノ川。そのサーモンを狙って河口近くの海には多くのフィッシングボートが出ています。

※関連記事 ⇒ ーモンフィッシング 

さて、釣り人から逃れたサーモンはいったいどこに行くのでしょう?

キャピラノ川
キャピラノ川を上流から撮影
キャピラノ川の堰
堰を作ってこれ以上サーモンが登れなくしてある
キャピラノ川
向こうのほうに堰(せき)がある

キャピラノ川を登っていくと途中で川が堰(せき)にぶつかります。せき止められたところに通路が設けられており、サーモンはそこに入っていきます。 

堰の手前に集まるサーモン
堰の手前に集まるサーモン
サーモンの通路
堰の右側にサーモンの通路を作ってある
サーモンの通路
通路からサーモンの様子が覗ける

通常の川が上流に行くときに岩場などの段差があるように、この通路も段差をこしらえてあります。奥に進んでいくとガラス張りの水路があり、サーモンが上っていくのが見えます。結構水流が強いので、折角登ったのに落ちてくるものもいます。

運動神経が鈍いサーモンもいるかもしれませんな

水路を登りきったところに水槽があり、ここにサーモンが集まります。

サーモンのジャンプが見られる水路
サーモンのジャンプが見られる水路
水路と水槽
向こうの水路を登ったところに水槽がある
水槽に入っているサーモン
水槽内を泳いでいる人口孵化させる前のサーモン

Capilano River Hatchery(キャピラノ川孵化場)

ここはCapilano River Hatchery (キャピラノ川孵化場)です。海からキャピラノ川を上がって、キャピラノ吊り橋から0.5km北に行ったところにあります。人工的にサーモンを孵化(ふか)させる所です。

※hatcheryはhatch(孵化する)から生まれた言葉です。

※関連記事 ⇒ キャピラノ吊り橋

キャピラノ川孵化場の入り口
キャピラノ川孵化場は入場無料
サーモンの模型
サーモンの模型が展示してある
サーモンの一生を展示している
サーモンの一生を説明している

孵化場を入ったすぐ右手にサーモンの模型があります。サーモンの種類や遡上してくる様子を示しています。また、サーモンのライフサイクルについて写真付きで説明してあります。

サーモンはカナダではとても身近な魚で、小学校では卵から稚魚が生まれて13~14cmぐらいになるまでを観察するプロジェクトが頻繁に行われます。大きくなったサーモンは児童たちが川に放流します。

サーモンの稚魚を飼育する水槽
サーモンの稚魚を飼育する水槽
サーモンの稚魚の水槽
もう少し大きくなるまでこの水槽で飼育する
サーモンの稚魚
少し大きくなったサーモンの稚魚

この水槽で13、4cmの大きさに育ててから放流するのです。自然孵化だと卵が魚や鳥に食べられたりして、生存率が下がるからです。現在は孵化の技術が向上し、昔に比べてサーモンの数がグンと増えました。

イクラってなに語?

ところで、イクラって普通カタカナで表記しますが、いったい何語かご存じですか?

答えはロシア語です。「イクラー」と発音します。ちなみに、サーモンなどの赤いイクラをクラースナヤ・イクラーといい、黒いキャビアはチョールナヤ・イクラーと呼ぶそうです。

なぜサーモンは海に行くのか

どうして淡水で生まれたのに、サーモンはわざわざ海に行くのでしょう?

一説によると、海のほうが餌が多いからだそうです。サーモンはどちらかというと寒い地方に生息する魚です。寒冷地の川や湖には栄養になる餌が少なく、よりよく生きるために長い年月をかけて少しずつ変化していったというわけです。この説は説得力がありますねえ。

なぜ生まれた川に戻ってくるのか

サーモンが生まれた川に戻ってくる性質を「母川回帰性」(ぼせんかいきせい)といいますが、サーモンは生まれた川の匂いを覚えているらしく、それを頼りに川を探して戻ってくるそうです。匂いを察知する何か特別なホルモンがあると言われています。

でも、最近はキャピラノ川に戻ってくる数が少なくなっているそうです。地球温暖化が影響しているのかもしれません。

地球温暖化は平均気温が高まるだけでなく,集中豪雨や竜巻などの異常気象をもたらします。もちろん水温も影響を受けます。今まで見られなかった魚が北のほうに移動しているとテレビ放映していました。 サーモンは海を回遊しますが、地球温暖化によって回遊する場所が変わったり、海の中の変化によって生態系に変化をもたらしたりしているのかもしれません。

サーモンの種類

カナダで釣れるサーモンは何種類かあります。それらを紹介しましょう。 

写真の左側が通常の姿、右側が産卵時の姿です。ずいぶんと変身するものですね。

chum チャムサーモン(シロザケ)
chum(チャム) 通称:dog 日本名:シロザケ

Chum(チャム)はカナダでの通称ではdog、日本ではシロザケといいます。
昔から日本でサケと言えばこのサケです。
体長平均60cm。
重さ4.5kg~10kg。
今までの最重記録は19kgというのがあります。

coho コーホーサーモン (銀鮭)
coho(コーホー) 通称:シルバー 日本名:銀鮭

Coho(コーホー)はカナダでの通称ではsilver、日本ではギンザケ
バンクーバーでは9月にコーホーサーモンフェスティバルが開かれます。ウエストバンクーバー市のアンブルサイド公園では、サーモンのバーベキューが野外で食べることができます。
体長平均70cm。
重さ3kg~5kg。 中には16kgに達するものもいます。

pink ピンクサーモン(カラフトマス)
pink(ピンク) 通称:humpy 日本名:カラフトマス

Pink(ピンク)カラフトマスと言われるものです。カナダでの通称はhumpy。
特徴は川を遡上しているうちに背中に”コブ”ができてくることです。なので、別名”Humpies”とあだ名が付いています。Humpというのは”コブ”のことです。
体長40cm~60cm。
重さ2.2kg~5.5kg。

sockeye ソッカイサーモン(紅鮭)
sockeye(ソッカイ) 通称:red 日本名:紅鮭

Sockeye(ソッカイ)ベニザケ。カナダでの通称はred。日本もカナダも一緒ですね。
バンクーバーではこのサーモンが8月末から10月初旬にかけて大漁です!
その身はとっても美味しいです。
体長50cm~70cm。
重さ2.2kg~3.1kg。 大きいのは80cm越え、7kgに達します。

chinook チヌークサーモン(マスノスケ)
chinook(チヌーク) 通称:スプリング、キングサーモン 日本名:マスノスケ

Chinook(チヌーク)マスノスケ
別名スプリングサーモン、若しくは、キングサーモンと呼ばれています。
キングサーモンと呼ばれる訳は、このサケはサーモンの中では最も大きくなるからです。中には体長1.5m、体重60kgほどにもなるというデカイのもいます。カナダではときどき大きさを競うサーモンフィッシング大会があります。この大会で釣り上げるサーモンがキングサーモンです。
体長60cm~90cm。
重さ4.5kg~22kg。

steelhead スチールヘッド
steelhead(スチールヘッド) ニジマスの親戚

Steelhead(スチールヘッド)海に下ったニジマスと同種の魚です。
日本の淡水魚のニジマス(rainbow trout)は1877年にアメリカから輸入されたといいます。
バンクーバーの湖にもニジマスがいます。キャピラノ吊り橋を渡ったところに小さな池があるのですが、そこにもニジマスがいます。
体長40cm~60cm。
重さ3kg~10kg。